【Viene la sera】 夕暮れに カラスとゲッダ 0032 蝶々夫人から


GEDDA & CALLAS , iene la sera,Butterfly, Puccini

【Viene la sera】 夕暮れに 
 
蝶々夫人 Madama Butterfly 第一幕の
 
ピンカートンと蝶々夫人の、二重唱
 
ソプラノ : マリア・カラス Maria Callas
 
テノール : ニコライ・ゲッダ Nicolai Gedda
 
 
※ 14分もありますが、奇麗な曲です。
 
 
       ***          ***
 
  
歌詞は著作権切れ。
 
翻訳は、オペラ対訳プロジェクトからの、パクリ。
 
 
 
♂ ピンカートン Pinkerton
 
 
 
Viene la sera
 
夜になった
 
 
 
♀ 蝶々夫人 Butterfly
 
 
 
...e l'ombra e la quiete.
 
...そして暗闇と静けさが
 
 
 
♂ ピン
 
  
 
E sei qui sola.
 
そして君はここにたったひとり
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Sola e rinnegata! Rinnegata!
 
たったひとりで見捨てられて!見捨てられて!
 
e felice!
 
それでも幸せです!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
A voi, chiudete!
 
お前たち 閉めてくれ!
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Si, si, noi tutti soli...
 
そう そうなの、私たちふたりだけ
 
E fuori il mondo...
 
世間なんて関係ない
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
E il Bonzo furibondo.
 
怒り狂ったボンゾもね
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Suzuki, le mie vesti.
 
スズキ 私の着物を
 
 
 
♀ 鈴木(女中) 
 
 
 
Buona notte.
 
おやすみなさいませ
 
 
 
♀ 蝶 (下のピンカートンの台詞と、重なる)
 
 
 
Quest'obi pomposa di sioglier mi tarda
 
この華やかな帯は 解くのに時間がかかります
 
si vesta la sposa di puro candor.
 
花嫁が着るのは清らかな白い衣装
 
Tra motti sommessi sorride e mi guarda.
 
あの人は何かつぶやきながら 
 
ほほ笑んで私を見つめてる
 
Celarmi pottessi! ne ho tanto rossor!
 
隠れてしまいたいわ!とっても恥ずかしい!
 
E ancor l'irata voce mi maledice...
 
あの怒りの声が まだ私を呪っている…
 
 
 
♂ ピン (上の蝶々夫人の独白と同時に、歌う)
 
 
 
guardando amorosamente Butterfly
 
リスのような動きで
 
あの子は結び目を解いていっている!
 
Con moti di scoiattolo i nodi allenta e scioglie!
 
この小さな玩具のような娘が私の妻なのだ!私の妻!
 
sorridendo
 
だけど、この目に見えた優美さが
 
Ma tal grazia dispiega,
 
僕から解き放つんだ
 
ch'io mi strugge per la febbre d'un subito desio.
 
欲望の突然の熱情を
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Butterfly, rinnegata...
 
バタフライは 見捨てられて…
 
Rinnegata... e felice.
 
見捨てられて...それでも幸せです
 
 
 
【二重唱のアリア】
 
 
 
♂ ピン   (着替えと化粧を、終えて、
 
        縁側から、庭に下りる蝶々夫人に、
 
        手を貸しながら)
 
 
 
Bimba dagli occhi pieni di malia
 
魅惑のまなざしに満ちた少女よ
 
ora sei tutta mia.
 
今、君はすっかり僕のものだ
 
Sei tutta vestita di giglio.
 
君は白百合のような着物を着ている
 
Mi piace la treccia tua bruna
 
僕は君の編んだ黒髪が好きだ
 
fra i candidi veli.
 
白いベールの間の
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Somiglio la Dea della luna,
 
月の女神のように見えますか
 
la piccola Dea della luna
 
月の小さな女神は
 
che scende la notte dal ponte del ciel.
 
夜に天の橋から降りてきて
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
E affascina i cuori...
 
人々の心を魅了するのだ...
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
E li prende e li avvolge
 
そう 心をつかまえて、包んでしまうのです
 
in un bianco mantel
 
白い着物の中に
 
E via se li reca
 
そして連れていってしまうのです
 
negli alti reami,
 
天空の別世界へと
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Ma intanto finor non m'hai detto,
 
まだ君は僕に言ってくれてないね
 
ancor non m'hai detto che m'ami.
 
言ってくれてないね 愛していると
 
Le sa quella Dea le parole
 
女神は知っているだろうか 
 
che appagan gli ardenti desir?
 
その言葉が熱い思いを静めるのを?
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Le sa.
 
知っていますわ
 
Forse dirle non vuole per tema d'averne a morir,
 
でもたぶん心配してそれを言いたくないだけ
 
per tema d'averne a morir!
 
死んでしまうのではないかと心配して!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Stolta paura, l'amor non uccide
 
愚かな心配だ、愛は殺さない
 
 
 
ma da vita e sorride per gioie celestiali
 
命を与え、天の喜びにほほ笑むのだ
 
 
 
come ora fa
 
ちょうど今
 
nei tuoi lunghi occhi ovali…
 
君の切れ長の瞳がほほ笑んでいるように ...
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Adesso voi
 
今、あなたは
 
siete per me
 
あなたは私にとっては
 
l'occhio del firmamento.
 
天空の中心なのです
 
E mi piaceste dal primo momento  
 
そして、私はあなたが好きでした 初めて
 
che vi ho veduto.
 
お会いしたときから
 
 
 
Siete alto, forte.
 
あなたは背が高くて強いお方
 
Rideste con modi si palesi
 
とても朗らかにお笑いになる
 
e dite corse che mai non intesi.
 
そして私が今まで聞いたことのないことを話される
 
 
 
Or son contenta,
 
今、私は幸せ、
 
 
 
or son contenta.
 
今私は幸せです
 
 
 
Vogliatemi bene,
 
私にください
 
un ben piccolino,
 
小さな幸せを
 
un bene da bambino,
 
赤ちゃんのような幸せを
 
quale a me si conviene.
 
私にはそれがふさわしいのです
 
 
 
Vogliatemi bene.
 
私にください
 
Noi siamo gente avvezza
 
私どもは慣れていますの
 
alle piccole cose
 
ささやかなことに
 
umili e silenziose,
 
つつましく静かな幸せに
 
ad una tenerezza
 
そして優しさに
 
sfiorante e pur profonda
 
控え目でいながら それでも深い
 
come il ciel, come l'onda del mare!
 
空や海の波のような優しさに!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Dammi ch'io baci le tue mani care.
 
君の可愛い手にくちづけさせておくれ
 
Mia Butterfly!
 
僕のバタフライ!
 
come t'han ben nomata tenue farfalla...
 
なんて君に似合った名前だ か弱い蝶々...
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Dicon che oltre mare
 
海の向こうの国では
 
se cade in man dell'uom,
 
人の手に捕らえられると
 
ogni farfalla da uno spillo e trafitta
 
蝶々は針で刺されて
 
ed in travola infitta!
 
板の上に留められるのだそうですね!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Un po' di vero c'e.
 
少しは本当だけど
 
E tu lo sai perche?
 
君はなぜだか分かるかい?
 
Perche non fugga piu.
 
もう二度と逃がさないためなのさ
 
 
 
Io t'ho ghermita
 
僕は君を捕まえたんだ
 
Ti serro palpitante.
 
震える君を抱きしめ
 
Sei mia.
 
君は僕のものさ!
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Si, per la vita. 
 
ええ 生きている限り
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Vieni, vieni!
 
おいで、おいで!
 
Via dall'anima in pena
 
痛む魂からうち捨てよう
 
l'angoscia paurosa.
 
恐ろしい苦悩なんか
 
E notte serena!
 
とても澄み切った夜だ!
 
Guarda: dorme ogni cosa!
 
ご覧、すべてが眠っている!
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Ah! Dolce notte!
 
ああ!ステキな夜!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Vieni, vieni!
 
おいで、おいで!
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Quante stelle!
 
何てたくさんの星たち!
 
Non le vidi mai si belle!
 
こんな美しい景色は見たことがないわ!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
E notte serena!
 
とても澄み切った夜だ!
 
Ah! vieni, vieni!
 
ああ!おいで、おいで!
 
E notte serena!
 
とても澄み切った夜だ!
 
Guarda: dorme ogni cosa!
 
ご覧、すべてが眠っている! 
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Dolce notte! Quante stelle!
 
ステキな夜!何てたくさんの星たち!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Vieni, vieni!
 
おいで、おいで!
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Non le vidi mai si belle!
 
こんな美しい景色は見たことがないわ!
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Vieni, vieni!
 
おいで、おいで!
 
 
 
♀ 蝶
 
 
 
Trema, brilla ogni favilla ...
 
震え、火花のように輝いている …
 
 
 
♂ ピン
 
 
 
Vien, sei mia!..
 
おいで、君は僕のものさ! …
 
 
 
♀ 蝶 (下のピンカートンのパートと、重なる)
 
 
 
... col baglior d'una pupilla! Oh!
 
..瞳のきらめきとなって!おお!
 
Oh! quanti occhi fissi, attenti
 
ああ!何てたくさんの瞳が つつましく
 
d'ogni parte a riguardar!
 
あちこちから見つめているのかしら!
 
pei firmamenti, via pei lidi, via pel mare!
 
大空からも 陸からも 海からも!
 
 
 
♂ ピン (上の蝶々夫人のパートと、同時進行)
 
 
 
Via l'angoscia dal tuo cor
 
君の心から不安を打ち捨てよう
 
ti serro palpitante. Sei mia.
 
震える君を抱きしめるんだ。君は僕のものさ
 
Ah, vien, vien, sei mia!
 
ああ、おいで、おいで、君は僕のもの!
 
Ah! Vieni, guarda: dorme ogni cosa!
 
ああ! おいで、ご覧、すべてが眠っている!
 
Ti serro palpitante. Ah, vien!
 
震える君を抱きしめるんだ。ああ、おいで!
 
 
 
♀ 蝶 (下のピンカートンのパートと、重なる)
 
 
 
Oh! quanti occhi fissi attenti.
 
ああ!なんてたくさんのまなざしが
 
Quanti sguardi ride il ciel!
 
たくさんのまなざし 空が笑っているわ!
 
Ah! Dolce notte!
 
ああ!ステキな夜!
 
Tutto estatico d'amor ride il ciel!
 
みんな愛に酔いしれて 空が笑っているわ!
 
 
 
♂ ピン (上の蝶々夫人のパートと、同時進行)
 
 
 
Guarda: dorme ogni cosa.
 
ご覧、すべてが眠っている。
 
Ah! vien! Ah! vieni, vieni!
 
ああ!おいで!ああ!おいで、おいで!
 
Ah! vien, Ah! vien! sei mia!
 
ああ!おいで!ああ!おいで!君は僕のものだ! 
 
 
 
 
 
 
 
     カラヤン Herbert von Karajan 指揮の、
 
     ミラノスカラ座管弦楽団の、1955年の、
 
     蝶々夫人の定番のような、演奏です。
 
 
 
     プッチーニ Giacomo Puccini の、
 
     きれいなきれいな曲ですから、
 
     麻薬みたいなものです。 
 
 
     私は、性欲と生殖をネタにして、
 
     美しいと言われる流行文化の価値観により、
 
     ロマンティックな物語を作ることが、
 
     大好きです。
 
 
     この後、ピンカートンは、本国に帰り、
 
     音沙汰がありませんので、
 
     蝶々夫人は、子供と自分を、刺し殺しました。
 
 
     ロマン主義が、言おうとしていることは、
 
     ヒトラーと同じですが、
 
     わかっているのに、やめられないのは、
 
     麻薬です。
 
 
     精神医療は、抗精神病薬抗不安薬などの、
 
     向精神薬により、
 
     人為的に、そのような精神を作り、
 
     治療と称しますが、
 
     音楽や文学だけでなく、
 
     人間の文化や、個人の人格は、
 
     生まれつきの身体の仕組の通りに、
 
     気持ち良くなることを、目指しています。
 
 
     向精神薬と同じように、依存症になり、
 
     やめようとすれば、
 
     禁断症状が出るだけでなく、
 
     やめなければ、身体がぼろぼろになり、
 
     死にます。
 
 
     そのことを、昔は、成人病と言いましたが、
 
     今は、生活習慣病と言います。
 
    
     生きることが病気であり、
 
     みんなと一緒の場合だけ、
 
     病気でないとします。
 
    
     精神医療だけでなく、
 
     医療が、ロマン主義を標榜するのは、
 
     間違っていると、コンピュータは言います。
 
 
     美しいと感激する仕組が、
 
     安物のオナニーと変わらないような
 
     作曲技術です。
 
 
     私は大好きです、プッチーニ